カウントダウン

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俺の目線に気付くと、頭を掻きながら苦笑いし、スキップシートに座る様促す。 「鈴木兄弟とは幼馴染で、長男の岳人とは同級生なんです。 あづちゃんと岳人は一回り年が違ってて、姉の真姫乃ちゃんとは4つ違いの兄弟なんです。 元が負けん気の強いあづちゃんは、兄が防大、姉が防医大に入ったのに反発して、海保大に進んで。 しかもあの通りだから、大学時代から成績も容姿も周りから頭一つ抜きん出てて、やる事なす事、目立つし、大胆だし。 けど、同期トップでおまけにこんな大型のしかも新造船の船長を任されて、流石にかなりプレッシャーだったんでしょう。 まぁ、海保としては、目立ち過ぎる跳ねっ返りを厄介払いした感も有りますけど。 それで無理矢理、昔馴染みの私を航海長に引っ張り出したんでしょうね。 最近は特に痛い位に健気で、見てられなくて... 兄弟喧嘩の一つもさせれば少しは肩の力も抜けるかと思いまして、悪戯させて貰いました」 「でも、やり過ぎましたか?」 「えぇ、まさか真姫乃ちゃんが出て来るとは... 正直、私も驚きました。 まぁ、やり過ぎだ!って言う、岳人の私へのお灸含みなんでしょう。 私も、真姫乃ちゃんには頭が上がりませんから」 そう言うと、原さんはまた頭を掻きながら苦笑いした。
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