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「いやいや、良くないだろ。
ちゃんと"いづも"って船名が有るのに」
「そんなものに拘らないの、現場がよけりゃ良いのよ」
「さぞや、海自はご立腹だろ」
「そうでも無いわ、慣れよ、慣れ」
二人で軽口を叩いてる内に、厚木の基地が見えて来た。
「何か手伝う事有る?」
「う~ん、無い。必要な物は既に空の上だし、此所では人間拾ったら直ぐに上がるから。
カイこそ、気を付けて行ってね、余震の間隔詰まってるから」
「うん、大丈夫だよ。たぶん。
子供たちに、後から行くって言っといて」
愛理紗は、キスをすると手を振って基地の中へと入って行った。
「さて、俺も急ぎますか」
ラジオでは、地震被害の情報と今後の予測を報じている。
だけど、正直な所は誰も解らず、ただ気持ちだけが焦り、溢れかえる情報に振り回されているのが今の現状に聴こえた。
「まったく、あの大震災から何を学んだんだ....。
情報の精査も発信の統一も出来ず、憶測を駄々漏れしやがって」
開けたままの窓からジェットの金属音が聞こえ、フロントガラス越しに空を見ると二機のビジネスジェットが南へ向けて飛んで行った。
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