政宗×律

30/33
前へ
/161ページ
次へ
無理やり腕を引かれ、連れられた場所はなんと男子トイレだった。 デパートのトイレったら必ず一人はいるはずなのに、こんなときに限って無人とかどういう…。 男子トイレに入った途端、解放された腕。 政宗さんの力が強かったせいか、ちょっと赤くなっていた。わぁお。 リツ「…いきなりこんなとこ連れてきて、何のご用?」 俺に背を向け黙ったまま、一向に此方を振り向かない政宗さんに眉をひそめてならばと、こちらから尋ねた。 兄貴ほったらかしにしたらどうなるか、考えただけでも恐ろしい。 マサムネ「……お前とアレの関係は?」 リツ「………、は?」 マサムネ「…お前の連れだ」 政宗さんの質問の意味を理解するまでの時間が、少しだけ掛かった。 理解した瞬間、むくりと湧いた疑問。 何で俺の連れを政宗さんが気にするんだ? リツ「俺の兄貴だけど…っか、政宗さん何でそんなに不機嫌なんだ。しかも俺の連れなんて政宗さんには関係ないだろ」 マサムネ「……。」 ちょっと言葉が冷たくなってしまったが、政宗さんとはもう赤の他人も同然。 冷たくなるのは仕方ないと割り切って頭を掻くと、やっと振り返った政宗さん。 その表情を見て、俺は凍りつく。
/161ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2448人が本棚に入れています
本棚に追加