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眉間に何重にも刻まれる皺。
ギラギラと光る、肉食獣の眼が俺を見下ろす。
まるで獣に目をつけられた小動物のような、そんな感覚に息をするのも億劫なほど、身体が震えた。
――…怒ってる。怒らせてしまった。
リツ「っ…政宗さ、ん…」
頬に伸ばされた手を避けきれず、されるがまま。
動かない身体と思考。
久しぶりの体温に、上手く反応できない。
マサムネ「……律」
腰へ回された逞しい腕。
身体全体に感じる政宗さんの体温が酷く懐かしくて、涙が出そうだ。
辞めてくれ。そんな声で名前を呼ぶな。
マサムネ「律……律」
リツ「ひっ!…ぁい、やだ…っ」
全力で抵抗しようと政宗さんの胸を押しても、腰へ回された腕の力が強くて離れられなかった。
やめろ、やめろやめろやめろやめろやめろやめろ。
また勘違いしそうになる。
違う、もうアンタは俺のじゃない。
リツ「は、ははっ…やめろよ、政宗さん。これは立派な浮気だぜ?」
声が震える。腰に回された腕をポンポンと叩く手も震える。
笑いたい、笑えない。
こんなこと、許されない。
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