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恐怖が、動揺が、バレてしまいそうで怖かった。
リツ「…いい加減離れてくれよ。ここ一応人目につくし…な?」
マサムネ「……律」
リツ「……!?」
いきなり唇に押し付けられた柔らかな感触。
政宗さんの整った顔が、息が、すぐ間近にあって。
―…気付いたときには、政宗さんを突き飛ばしていた。
リツ「――…嫌い」
マサムネ「…!?」
心が、何かが急速に冷めていくのを感じた。
床に尻餅をついて驚愕に固まる政宗さんを見下ろして、心から思ってもない単語がするすると出てくる。
もう止められない。
リツ「嫌い。大嫌いだ。アンタなんか……もう面もみたくない」
マサムネ「り、つ…!」
傷付いた政宗さんの顔。もうそれすらもどうでもいい。
リツ「俺を無理やり物にして、そして意図も簡単に捨てたアンタを、もう俺は何とも思わない。…今までありがとうございました」
政宗さんの言葉なんか二の次に頭を深々と下げて、俺は颯爽とその場を後にする。
周りの喧騒、まだ熱のこもった唇と身体。
頬を伝う何かに知らないフリをして、兄貴たちのいる場所へと向かった。
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