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―…あの日から、政宗さんとの唯一の繋がりであった携帯を解約した。 諦めよう、消そう…だけどこれぐらいなら持ってても良いよなと未練ったらしく所持していた、政宗さんが誕生日プレゼントでくれた携帯電話。 落ち込んだときや疲れたとき、ふとこの携帯電話を手にして、政宗さんの電話番号を開いて。 つかの間の思い出に浸って活力にしてた…本当に俺はどうかしてた。 リツ「……。」 風呂上がりで髪を吹くタオルの隙間から、シングルベッドに放置した新しく買い換えたスマホを見る。 新しく買い換えたスマホに政宗さんの電話番号は…ない。 あの日から、俺にとって必要最低限の人間以外の電話番号が消えた。 社長も漣も大地も……政宗さんの周囲、知り合いの連絡先を全て。 リツ「っ……はぁ」 ダイブしたベッドが、大袈裟に軋む。 ふかふかとした柔らかな羽毛に顔を埋めて、あの日から増え続けるため息をつく。
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