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翌朝、洗面器の前で歯を磨いていたら、寝室から携帯の着信音が聞こえて「はいはい」と小走りで携帯を取った。
この携帯の番号を知っているのは涼さんと、家族か親友ぐらいのもの。
だとすると、自ずと相手は分かるもので。
【非通知】に気付かず、気を抜いて電話に出てすぐに後悔した。
リツ「もひもひ?」
「お、神崎か」
リツ「っ社長!?」
電話の相手は何と、あの傍若無人で自己中な社長だった。あれ、俺携帯解約して新しくしたはず…なんすけど。
ビックリし過ぎてスマホの画面をつい二度見してしまった俺は、普通の反応だと信じたい。
リツ「何で俺のケー番知って、あ、いや何でもないです。用件だけどうぞ」
長年あの人の雑用やってれば嫌でも理解してしまう。職権濫用しまくるあの人のことだ、聞くだけ損ってヤツ。
つい説明を求めそうになった口を閉じて、零れ出そうなため息をグッと飲み込み、前髪をクシャと掴みなぜる。
嫌な予感がする、さっさと切り上げよう。
シンタロウ「お前は察しが良くて助かるな。簡潔に言おう、政宗とやり直せ。そして俺の仕事を減らせ」
リツ「後半が本音だと言うことがハッキリと分かりました。断る!」
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