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予想通り過ぎてむしろ清々しさを感じる頼み事に、もはや怒りをぶっ超えて呆れてしまう。
あの人が俺にちょっかいを出し始めたときは必ずといって良いほど、政宗さんが絡んでくる。
幼馴染みとしてのよしみだか何だか知らないが、政宗さんを忘れて前向きに生きようとしている俺にとっちゃあ迷惑以外の何物でもない。
俺の意思を尊重する気も更々ないくせに、あの人のためにと俺を振り回す社長が、俺は昔から嫌いだった。
リツ「…一応聞いておきますが、政宗さんが俺を振ったのに何故、今更になってその振った本人とヨリを戻せと?
政宗さんが社長にそう頼んだのですか。
あ、あと政宗さんにはとっくに恋人が居ますよ、知りませんでした?」
左肩と耳にスマホを挟みながら、全身鏡の前でもたもたとネクタイを結ぶ。
涼さんから頂いた白黒のチェック柄ネクタイが白いYシャツに映えて、よしっと一息つく。
いや…政宗さんがもし、そう社長に頼んだのなら、流石に失望するわ。
出勤するにはまだ早い時間だなとベッド脇の目覚まし時計で確認して、ベッドに腰を下ろした。
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