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リツ「社長にとって、俺の気持ちなんざどうでも良いことかも知れない。けど、もし俺が政宗さんとやり直したとして、前の関係に戻れるかって言ったら…答えはNOだ」
確かに始まりは、政宗さんの熱烈なアプローチからだった。
男同士の非生産的な恋愛。屈折もあったし、家族への罪悪感も拭いきれなかった。
だけどそれらを全てかなぐり捨てて、政宗さんと一緒に居ることを選んだ自分。
人生の一大決心をたった四年で、しかもあんなにアプローチしてきた政宗さんの方から断ち切られたなんて、もう笑い種にもならない。
シンタロウ「…そうか」
リツ「はい。それに俺、いま恋人居ますし」
シンタロウ「…何?」
今まで淡々と返事をしていた社長の声が変わる。
多分、驚いているのだろう。
おあいにく様だ。いつまでも前の恋愛を引きずるほど、俺は乙女じゃない。
リツ「前の会社で知り合った女の子と付き合って、もうふー…みー…2ヶ月くらいですかね」
「めっちゃ可愛いんですよ」とケラケラ笑う俺に、社長は無言。
声が一旦途切れてから、再び開かれた。
シンタロウ「お前…もう政宗が好きじゃないのか」
リツ「…どうでしょうね」
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