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『ァ……ァ……』
「…………」
結論から言おう。
俺の肩を掴んでいたのは、全身に髪の毛を絡めて出来たような不気味な身体を持ち、骸骨のお面を被ったような表情を一ミリも動かさない得体の知れないモノだった。
それを見た俺は──
「どわぁぁぁっ!!」
当然ビビるワケで、反射的に左手に持っていた学校の鞄を髪の毛野郎の右側頭部に向けて振り回した。
すると髪の毛野郎は避ける素振りも見せず簡単に直撃し、そのまま地面に向かって崩れるように倒れた。
始業式の後でテンションが上がったのか、はたまた突然すぎたからか、俺の心臓はうるさいぐらい激しく動いていた。
「はぁっ……な、何だ……?」
俺は倒した髪の毛野郎を見ていると、その髪の毛野郎は再び動き出し、ゆっくりと立ち上がっていく。
「うわっ!」
あまりの気持ち悪さに俺はその場から立ち去ろうとしたが、いつの間にか大通りは髪の毛野郎が沢山いて、一般人は俺と同じように抵抗するか逃げ回っていた。
ちょっ、コイツら何なんだよ!?
いきなり出てきたと思ったら、いつの間にかこんなにウジャウジャと増えてやがるし!
二十体近くいる髪の毛野郎はゆっくりと一般人に近付き何かをしようとしているように見えた。
「伏せて!」
俺がそう観察した時、まるで救いの女神が舞い降りてくるかのように人の声が響き、同じ学校の制服を着た一人の少女が俺の目の前に姿を現した。
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