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ガラスが割れた様な音と同時に姿を消したサラリーマンは一体何者だったのか?
それと、今俺の目の前にいる女子も一体何者なのか?
後、あの髪の毛野郎達。
色んな疑問が数分間の間に生まれ、俺の頭はショート寸前まで追い詰められていた。
俺は今の出来事が余りにも現実離れした出来事だったので、辺りに騒ぎが起こるんじゃないかと思った。
しかし俺の予想を反して、髪の毛野郎に襲われていた人達は何事も無かったかのように何処かに向かっていく。
あれ? 今のってそんなに大した事ない事か?
気にする程でも無いってか?
俺は腰を地面に着けた状態のまま腕を組み悩み出す。
が、それはとある人物によって遮られる。
「それ私の鞄なんだけど、返してくれる?」
さっき戦っていた女子が俺の方向に向けて右手を差し出していた。
鞄を寄越せって事だろう。
つーか、自分が投げつけてきたくせに、何で俺が鞄の持ち主を知らない様な言い回しをしやがるんだ。
……それにしてもこの子の指、綺麗だな。
青い指輪も綺麗だし……。
あ、そうだ。別に一人で悩む必要ないじゃん。
直接本人に聞けばいいだけだろ。
俺は彼女の鞄を手渡しながら声を掛けた。
「なぁ……さっきのサラリーマンとか髪の毛野郎って何なワケ?」
この言葉がキッカケだった。
「あ、アンタ……覚えてるの……?」
「は? 覚えてる……って……?」
どうやら俺は足を踏み入れてはいけない何かに足を踏み入れたらしい……。
これが俺と彼女の出会いだった。
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