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『なんで手を振りほどいたの。』
収録のスタジオに向かう廊下で
目も合わさず君が呟いた言葉。
無機質なそのトーンに
逆に責められているようで
俺は咄嗟に言い訳をする。
確かに俺達の関係は
メンバーやマネージャーは認めてくれている所だけど。
だけどやっぱり
公衆の面前じゃ気が引けるよ。
一瞬君は傷付いた顔をして、
それを隠すように歩調を早めながら問い掛けた。
『それは、
俺達の関係が後ろめたいって事?』
横っ面を張っ倒された様なショックで呆然とする俺を一瞥すると君は
皮肉を含んだ表情で笑顔を向け、
俺の傍から離れていった。
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