異常な日々

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『身に覚えなんてあるわけないじゃん』 そう言おうとしたのに声が出なかった。明るくいつものように笑って誤魔化さなきゃ、お母さんを心配させちゃう。 分かっていても得体の知れない影が背後に迫っているのだと思うと、底知れぬ恐怖が足元から這いずるようにして、私の動きを止める。 「陽菜?」 ダメだ。気づかれちゃいけない。 私は強引に口角を上げる。 「なんでもないよ。お母さんは心配しすぎなんだよ。っていうか、お鍋吹いてるよ? ほら」
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