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「あっ、十夜。おはよう! って居たの気付かなかったわ」
「おま……朝からそれって酷くね?」
十夜はスマートフォンをいじりつつ、私の前にある席から椅子を引き出して腰を下ろした。
「あははっ、ごめんね。ちょっと考え事してたから」
「なになに? 陽菜が考え事なんて珍しいいじゃん!」
「あのねぇ、あんたこそ失礼だから!! まったく……」
「嘘だって、そんな怒んなよ!! なっ? それでそれで? 姫は一体、何をそんなに考え込んでらっしゃるの?」
悪びれる様子もなくにこやかに話す十夜に、私は一つため息をつくと事情を話した。
「ん……小説のジャンル決めだよ。期限って今日まででしょ? 実は忘れててさ」
私はスマホを鞄のポケットに仕舞いながら、自分の席に腰を落ち着けた。
「えっ? あれ? 期限って、今日だったっけ?」
「何言ってんの? もしかして、忘れてたとんじゃあ……」
「あぁ……マジですっかり忘れてたし」
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