見てる

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そう思った時、あの日と同じ事を思い出した。 手の中にあるスマホ。 そうだ。 義高に電話! 私はメールを削除し、着信履歴から義高の名前をタッチする。 《電話をかける》を更にタッチし、耳に強く押し当てた。 早く出て!! お願いだから! 祈るような気持ちで、私は視線を扉へと向けた。 それは予期せぬ出来事。 出来る事なら、思い過ごしであって欲しいという望みが砕かれた瞬間だった。 目と目が合った。 前方の扉から覗く、片側の大きく見開かれたギョロっとした人の目。 その視線は微動だにせず、ただジッと私を……。 見ているだけだった。
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