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数日後、ひとりしかいない私の家に、探偵の嘉山が訪れた。
「ああ、嘉山さん…」
「どうも」
彼はまた気取った笑顔を見せて、軽く頭を下げた。
「どうしました?犯人が、分かったんですか?」
「ええ…もはや間違いはありません、独断で警察に行こうとも思ったのですが、やはり勝手すぎるとも思い、伺った次第でございます」
彼はきょろきょろと辺りを見回し、囁くように言った。
「中でお話ししても?」
「ええどうぞ」
駿と進くん以外の異性を家にいれるのは、初めてのことだった。嘉山は私のあとに続いて歩き、やがて、駿がいつも座っていた椅子に座り、改まって話し出した。
「凛子さんは、音無 進という人物をご存知ですね?貴女と、東條駿の幼なじみ」
「知っています」
やっぱりか。
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