花火が咲く君

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後日、花火大会の最終日のため、僕達はあの河川敷に来ていた。 昨日とは何ら変わらない、綺麗な花火だったが、駿の面白くなさげな顔も、それを見つめながら文句を言う凛子も、何ら変わりはなかった。 それどころか今日は、駿の様子が変に見えた。相変わらず残念そうに花火を見上げているが、今日は何かが違った。 うつろで、何かを抑えきれない目。今にも何かを叫びだしそうに、鋭く、そして真っ直ぐに、夜空を彩る花火を睨み付けていた。 花火も終盤に差し掛かると、ふいに凛子がトイレに向かった。 僕と駿のふたりきり、その真ん中に空いた隙間は、狭そうに見えて、凛子がいない分広かった。 もともと彼と仲が良くなかった訳ではない、小中とこの河川敷を凛子と僕と駿で駆け回り、良く秘密基地を作ったものだ。 なのに、どうしても狭められないこの距離は、一体何なのだろう。 いや… 「なあ…進…」 「何…?」 その答えはもう… 「俺…凛子のこと好きだ」 分かっていたはずだ。 その瞬間、何を思ったのか、夜空に咲いた花火は、今年一番の輝きを見せた。      
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