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駿と凛子の結婚が決まったのは、数日前のことだった。駿は珍しく僕を近くのカフェに誘い、その事を告げた。
僕は大いに驚くと同時に、駿を恨んだ。僕は、その時、その瞬間まで、ふたりが付き合っていたことを知らなかったのだ。
話によれば、ふたりは高校を卒業したその日に、付き合い始めたらしい。
そう…駿は、分かっていたんだ。僕が、凛子を好きだってことを。だからわざと黙っていた。結婚が決まってしまえば、僕にはもうどうすることも出来ない。
しかし、駿のその作戦は、今や泡と化した。僕はそんな素直じゃなかったのだ。
僕は、駿を河川敷に呼んで、背後から鉄パイプで頭を殴った。それから頭を押さえつけ、川の水に押しつけた。力無くもがく駿、その時のことは、よく覚えていない。
それから僕はどうやって家に帰ったのか、何を思い家路についたのか、何も覚えてはいなかった。
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