終わりの始まり

9/99
前へ
/99ページ
次へ
―某所― 黒服女「…新たなる秩序、か」 黒服女はアメリカンスピリットに火をつけながら考える。 黒服女「新しきは古きを勝る…それは世の常とされてきてる…だけど」 煙を吹かし、目を細めて言う。 黒服女「扱う人間によってその真価は変わる…。『ヤツ』なら持つものが古の業であろうと神の奇跡を意図も容易く断ち切ってしまうだろう…」 歯軋りがするくらい力強く歯噛みし、呟く。 黒服女「『ヤツ』なら…忌々しき霧雨家の次期当主候補にして、一族最強の業を持つ者…霧雨蒼雅なら!」 吐き捨てるように吠え、煙草の吸殻を足で踏み、その場から立ち去った。 …目に少量の涙を浮かべながら。 ―――――――――――― ―別館裏・森林園入り口付近― 蒼雅「ついにここまで来たか…」 八雲「てかどんだけデカイのよこの学園の敷地…」 確かに。ここは学園の癖にデカすぎる。 デカさならテーマパーク2つ分なんてモンじゃない。 とは言っても、立ち入り禁止区域のデカさがどれくらいデカイかは不明なので、実際の学園全体の大きさは把握できていない。 誰が造ったのか、なんの用途で造られたのかも… 私は1回生の頃、バカデカイ門の前まで行った事があるが、そこにいた教師に無理矢理追い返された。だから何があるとかは分からないのだ。 蒼雅「基本的に本校舎と各方角にある校舎を使うくらいだったしね」 八雲「私、こんなところに別館があるなんて知らなかったわよ…」 学園側から立ち入り禁止例が出てるんだ。一般生徒なら大人しく従う。無視して入ろうとするヤツは不良ぐらいしかおらん。 …だから私は不良に分類される。 八雲は完全無欠の優等生。知らなくて当然だ。 八雲「…なんて嘘よ。入学したての頃、一回侵入を試みたわ」 …前言撤回。こいつは優等生の皮を被った不良やで。 蒼雅「結果は失敗に終わったと…?」 八雲「そこは言わずもがな、て感じね。…でも、収穫は3つあった」 蒼雅「また3つ?もっと無いの?」 八雲「あるけど、重要な情報を3つに絞ってるだけ。そっちの方が早いし分かりやすいでしょ?」 蒼雅「そういうことね…んで、その3つとやらは?」 八雲「そう焦りなさんな。今からゆっくり教えるわ」
/99ページ

最初のコメントを投稿しよう!

9人が本棚に入れています
本棚に追加