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灰原ユウヤはうつ伏せで待っていた。 京介が夕飯を買って帰ってくるのを。 冷蔵庫には何もない。今朝なくなった。今の俺には自分の小遣いで近所のコンビニから握り飯を調達する体力も気力もないんだ。お腹空きすぎて。それどころかこのベッドを降りることもできない。 早く、早く仕事を終わらせて帰ってきて、京介…。 時計を見るために顔を上げることもできず、ただ京介の帰り(つーか飯)を待つ。 ガチャッ 剣「ただいま」 灰原「!!」 帰ってきた! もしもユウヤが天馬だったら「京ちゃ~ん!」って叫びながら突っ込んで行っただろう。 さっきまで1ミリも動かなかった手が声帯を探し始める。メガネを探しているようにも見える。 あったあった。体を起こして喉にあてる。 灰「「オカエリ、キョウスケ」」 剣「うぉお!?ユウヤが死にそうな顔してる!大丈夫かユウヤ!」 灰「「お腹、空イた…」」 剣「そうか。じゃあ少し待っててくれ。今、メシ作るから」 灰「「うン…」」 ユウヤが独り暮らしだった京介の居候になったのは、3ヶ月前。 記憶を失いさ迷っていた時、京介に会った。 行くあてのないユウヤを拾ってくれた上、声帯と護身用の銃を二挺もくれた。 3ヶ月一緒に暮らして、ユウヤの記憶は戻らなくても、京介のことはわかってくる。 京介の仕事は、悪い人を依頼された通りにやっつけること。ユウヤもよく手伝う。 京介には行方不明の兄がいるらしい。優一って名前の。 ユウヤを拾ったのは手がかりをもとに優一を探している途中だったから、ユウヤの過去を見つければ優一も見つかるかも知れない、優一を見つければユウヤの過去も見つかるかも知れない、そんな淡い期待も少しだけ抱いてるみたい。 (その時の手がかりすら藁にすがるようなものだった。) 天馬は京介の仕事仲間で、会いに行くとしょっちゅう自殺して死んでる。けどすぐ《戻ってくる》。京介大好き。 剣「ほら、出来たぞ」 灰「「ィタだキます」」 京介の作るご飯は美味しい。
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