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沸き起こる歓声が、鷹見の意識を現実に引き戻した。
六番打者がバッターボックスに入ったのだ。
高卒四年目の、若き大砲候補。
4位と低迷する相手チームの中では唯一と言って良い希望の星だ。
かつての甲子園のスターで、鳴り物入りで入団してきた。
一軍で経験を積み、来期はクリーンアップを任されるだろうと言われている。
初球。外へのストレート。
ボール球を、そいつは悠然と見送った。
見下されている――。
直感して、鷹見は瞬時に沸騰した。
いっそこいつの頭にぶつけて、すべてを終わらせやろうか。
そんな思いが脳裏をよぎる。
キャッチャーからボールが返ってきた。
反射的に捕球し、グラブを脇に挟んでこね始める。
キレたら終わりだ。
半ば無意識にルーティーンをこなしながら、鷹見は自分に言い聞かせた。
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