4

4/6
前へ
/30ページ
次へ
鷹見は畳み掛けるように、若い捕手が惚れているホステスの秘密を暴露した。 「リサはそいつにぞっこんで、まるまる面倒をみてるって話だ。――お前が貢いだ分も、右から左さ」 捕手の顔が真っ青になった。 次の瞬間には怒りで朱に染まる。 「そんなバカな・・・」 そう呟くがやっとだ。 本当のことだ。 目の前の若僧とは酒場での年季が違う。 この程度の情報を仕入れることなど造作も無い。 「まぁ気にするな」 捕手の肩を抱くようにして、鷹見は囁いた。 傍目には配球について相談しているように見えるだろう。 「俺がもっといいコを紹介してやるよ。もっと美人で、もっとウブな――お前さんに似合いのコをな」 捕手が顔を上げた。 ホントっすか? その目が言っている。 「そっちのことなら任しとけよ。――知ってるだろ?俺のあだ名」 「夜の最多勝男」。 派手な夜遊びを繰り返す鷹見に、ゴシップ好きのスポーツマスコミがつけた二つ名だ。
/30ページ

最初のコメントを投稿しよう!

6人が本棚に入れています
本棚に追加