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鷹見は畳み掛けるように、若い捕手が惚れているホステスの秘密を暴露した。
「リサはそいつにぞっこんで、まるまる面倒をみてるって話だ。――お前が貢いだ分も、右から左さ」
捕手の顔が真っ青になった。
次の瞬間には怒りで朱に染まる。
「そんなバカな・・・」
そう呟くがやっとだ。
本当のことだ。
目の前の若僧とは酒場での年季が違う。
この程度の情報を仕入れることなど造作も無い。
「まぁ気にするな」
捕手の肩を抱くようにして、鷹見は囁いた。
傍目には配球について相談しているように見えるだろう。
「俺がもっといいコを紹介してやるよ。もっと美人で、もっとウブな――お前さんに似合いのコをな」
捕手が顔を上げた。
ホントっすか?
その目が言っている。
「そっちのことなら任しとけよ。――知ってるだろ?俺のあだ名」
「夜の最多勝男」。
派手な夜遊びを繰り返す鷹見に、ゴシップ好きのスポーツマスコミがつけた二つ名だ。
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