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悪いのは鷹見自身だ。 判ってはいても、認めることは難しかった。 責任を押し付けられる別の誰かを探し、見つけることができないと悟ると鷹見は逃げた。 酒に。女に。 当然成績は下がった。 元々峠を越していたこともあり、そのオフには解雇通告が鷹見を待っていた。 トライアウトは散々だった。 プロから弾かれた者たちが、再雇用を求めて集う合同テスト。 まだ使えそうな負け犬を探す場だ。 とはいえ、有力な選手には既に声がかかっている。 つまりこの場に再起を賭けなければならない者は、本当に崖っぷちに追い詰められているということだ。 当日は生憎の雨で、テストは球場内の室内練習場で行われた。 正規のブルペンが一つしかない為、鷹見らのグループは仮設のマウンドをあてがわれた。 ブルーシートの上に土を盛っただけの粗末なマウンド。 高さも硬さも到底満足いくものではなかった。 様々なユニフォームに身を包んだ参加者から、一様に失望のため息が漏れる。 しかし、抗議する者はいなかった。 敗者復活戦に臨む身に、そんな権利などないからだ。
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