1.幕開け

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「俺はまだ死ねないんだよ!」 そう叫ぶのと同時に、黒いマネキンの剣を腕ごと切り裂いていた。 「……………」 マネキンが三歩ほど後ずさると、あの低い声がした。 「ほう、死の間際で記憶を取り戻したか……なるほど、どうやら見込み違いではないようだ」 なにか嫌味なことを言った気がするが、今の俺にはまったく耳に入っていなかった。 黒いマネキンの腕を切り裂いた右手には、紅蓮に染まる剣が握られていた。 片腕を奪われ、攻撃手段が無くなったマネキンはどうあっても俺を殺したいらしい。 頭の部分が巨大な針のように変化して、俺目掛けて突っ込んできた。
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