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「大体、お前はかぐやがそういう奴だって知ってて好きんなったんだろ?今更そんなことで騒ぐなよ。」
ラーメンをすすりながら言う。相談相手が他の人間ならともかく、雷哉の大袈裟な嘆きを聞いてやれる程俺も暇じゃない。
何よりあの誘惑上手な恋人のお声が掛からない日くらい、ゆっくり寝たかった。
「そりゃそうなんだけど……でもさ、なんかおかしいんだよ!俺がご飯作ったら、どんなゲームの途中でもお腹を盛大に鳴らして食い付いてきたあのかぐやちゃんが!もう三日も俺の飯食べてくれないんだよ?!」
…ん?
「…お前の飯が嫌なだけじゃなくて?ゲームに熱中してる時によく食ってる十秒チャージの飲むゼリーとかは?」
「冷蔵庫のが減ってないから食べてないんだと思う。」
んん?
「……でもそんな状態じゃヘロヘロなんじゃないの?それでもテレビの前から動かないの?」
「っていうかこの三日間顔見せてくれないんだよ。おっきな布団の塊になっちゃって、俺が何言ってもうんともすんとも返ってこないの。」
このバカ。
信じられないこのバカ。
あぁぁぁぁ、バカ。
それは三日も放っておいちゃいけない明らかな『異変』だろうが!
「--あれ?どうしたのリーダー?っってぇ?!」
俺は高速の速さで雷哉にデコピンをかますと急いで店を出た。
かぐやはゲーマーだが、1つのゲームにかかりきりになることはまずない。全ての機種のゲームを1日に起動させて同時進行でこなしていく。だから布団から出て来ない、なんてのはおかしい。携帯ゲーム機をしてたとしたって、「うんともすんとも返ってこない」ってことは、そのゲーム音すらしないってことじゃないか。
俺はその『異変』を知っている。
かぐやがそんな状態になる理由は1つしか見当たらない。
「っ!」
慌てて後から追い掛けてくる雷哉に苛立ちを感じながら、俺は走った。
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