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「わっ!!私の家は無理よぉ!!」
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甲高い、耳障りな声で我にかえる
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今日は私の家族の葬式だった
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さっきの声の主が、慌てたようにこちらを伺う
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私が気付いていないフリをすると、安心したようにまた輪の中へ戻る
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高校生とはいえ
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私はまだ、社会に守られる立場の子供だ
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あの人達は、誰が私を引き取るかでモメているのだ
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「ウチは息子が3人もいて手一杯なの、土山さんが引き取ればいいじゃない」
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「う…ウチだって無理よ!!」
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「両親が死んでるのに泣きもしないなんて…気味悪いわ」
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「だいたい…何であの子だけが生き残ったのかしら…」
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その言葉は
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「何でお前だけが生き残ったんだ」
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と
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家族に責められているようで
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思わず耳を塞ぎたくなるのを律しながら
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もう涙なんて流しすぎて一滴も出ない虚ろな目で
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その灰色の輪を眺めていた
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