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さて、そろそろ本題に入ろう。
「えーっと……月野さん」
「違う。恋人なんだから、美紗って呼んでほしい」
いきなり呼び捨てかよ……。
今まで女の子と親しくなったことがない俺にとって、結構照れくさい難関だ。
「あー……その、美紗……さん」
「呼び捨て」
“さん”付けで呼んだ途端、彼女はカッターを取り出して刃を俺に向けた。
「か、勘弁してくれ!いきなり呼び捨ては、めちゃくちゃ恥ずかしいんだ!」
「ふぅ……仕方ない、“さん”付けで譲歩します」
慌てて頭を下げると、彼女は諦めたように溜め息混じりで呟いた。
どうやら納得してくれたらしい。
名前一つで命の危険とか、『どんだけー』って感じだよ……。
「それで……何かな?」
おおっ、そうだった。
あまりの恐怖に忘れるところだった。
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