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淹れたてのコーヒーを飲みながら、朝食を摂っていると――
ピンポーン。
不意に玄関のチャイムが鳴った。
「……まさか、本当に来たのか?」
爽やかだった気分は、一気に重くなる。
とりあえず食事を一旦中止し、椅子から立ち上がって玄関に向かう。
「おはよう、優真」
おそるおそるドアを開けると、そこには案の定私服姿の美紗さんが立っていた。
またしても、ヘッドホンとマフラーを装着している。
「おはよう……」
「……元気がないね?どうかした?」
「いや、別に……」
「美紗さんのせいで気分が台無しだ」とはさすがに言えず、俺はそっぽを向いて誤魔化す。
「?ま、いっか。とにかく入っていい?」
「……もし入るな、って言ったら?」
「窓を割ってでも、無理矢理入る」
真面目な顔をしてそんな怖いことをさらりと言われたので、俺は仕方なく彼女を家の中に招き入れることにした。
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