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すると俺の返事が不満だったのか、彼女はどこからかカッターナイフを取り出した。
チキチキと刃を剥き出しにし、虚ろな瞳をしたまま俺に向けた。
「……私と子作り、するよね?」
背筋が凍るような、酷く冷たい声色。
絶対に自分の意見を譲らない彼女に対し、俺は無言で頷いた。
再度断るという選択肢は、もはや残されていなかったのだから。
「うふふっ……君はツンデレだね。私を困らせるなんて、いけない子だよ」
困らせているのはどっちだ、俺はツンデレじゃない、と強く言いたかったが口に出さないのが利口だ。
「はぁ……」
代わりに溜め息が自然と漏れた。
一体、どうしてこうなってしまったのだろう……?
その疑問に答えをくれる人など、居る訳もなかった。
To be continued...
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