2997人が本棚に入れています
本棚に追加
/65ページ
途端、彼女から柑橘系の甘い匂いが漂ってきた。
「糸城さん、いい匂いするね」
「えっ……?」
いかん、俺は何を言っているのだ?
事実だからといって、割と恥ずかしいことを口走ってしまった。
どうしたらいいんだろうと思っていると、糸城さんは頬を赤らめて微笑んだ。
「あ、ありがとう……」
なんだ、この照れくささは……?
出来ることなら、今すぐダッシュして逃げ出したい。
「と、ところでさ……昨日のお笑い番組、見たか?」
我ながら、なんて下手な誤魔化し方だ。
しかし話を振らないと、いつまで経っても気まずいままである。
「あっ、うん。み、見たよ」
「そ、そっか……」
「う、うん……」
ダメだ!話が続かない!
本当に俺ってヤツは、阿呆極まりない。
最初のコメントを投稿しよう!