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持ち直すことが出来ずに気まずいまま、俺たちは教室に辿り着いた。
「じゃ、じゃあね」
「あ、ああ……」
しばらく無言だった糸城さんは、頬を赤く染めたまま自分の席へと向かった。
くっ……なんで俺はこんなに照れているんだ……。
頭をボリボリ掻いて席に向かおうとすると、背後からポンと肩を叩かれた。
「おっす、優真。なに顔赤くしてんだ?」
「……美波か。なんでもねぇよ」
振り返ると俺の数少ない友人の一人、虹橋美波が怪訝な顔をして立っていた。
赤く長い髪をポニーテールに纏め、気の強そうな瞳をしている美少女だが、どうにも口が悪いのが玉に傷。
そんな彼女と俺は、いわゆる喧嘩友達というやつだ。
「ふぅん……にしちゃ、糸城と仲良く登校してきたじゃんよ?」
「なんだ、見てたのか?」
「見てたんじゃなくて、見えたんだっつーの!勘違いすんな!」
そう怒鳴りながら、美波は俺の頭を殴ってきた。
あ、相変わらず手が上がるのが早いヤツだな……。
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