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全ての授業を済ませ、いつも通りに帰りのホームルームが終わると、俺は鞄を持って席を立った。
「おい、女たらし」
教室を出て廊下に出た途端、背後から声をかけられた。
振り返らなくても分かる……美波だ。
しかし俺は女たらしなどではない。
なので返事をしないまま歩き続ける。
「あっ、こら!無視してんじゃねぇよっ、この変態女たらし!」
俺の行動が気に食わなかったのか、ヤツは声を荒げた。
何故か変態というラベルまで付いてしまったが、彼女の挑発には乗らない。
そのまま何事もなかったかのように歩き、昇降口から出て校門に向かった時だった。
「……俺は夢でも見ているのか?」
唖然とした。
何故なら校門には、ここに居るはずのない美紗さんが立っていたからだ。
「あっ……お疲れ様、優真」
俺を認めるや否や、こちらに歩み寄り労いの言葉をかけてきた。
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