2997人が本棚に入れています
本棚に追加
だから俺は、泣く泣く諦めることにした。
「……分かったよ、デートしよう」
「うん♪」
満面の笑顔で頷く美紗さん。
その可愛い微笑みに惹かれている中、突如背後から威勢の良い声が聞こえた。
「おい、女たらしの市原優真!」
なんということでしょう。
まさかこの場面でヤツが来るとは、ちっとも思わなかった。
名前を呼ばれた以上、無視することは出来ない。
おそるおそる振り返ると、そこには美波の姿があった。
眉間にシワを寄せている辺り、かなりのご立腹なのは間違いない。
「み、美波……?えっと……なんか用?」
「『なんか用』だぁ?」
「ひっ……!?」
あまりの威圧的な口調に、俺は情けなくも小さな悲鳴を漏らした。
目の前に居るのは人間ではない、鬼だ。
最初のコメントを投稿しよう!