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世間って、意外と狭いもんだな……。
衝撃的過ぎる事実に驚いている俺をよそに、美波が「ちっ……」と舌打ちをする。
「優真、忠告するけど……その女とは一刻も早く別れたほうがいいぜ?」
「はい……?」
真面目な口調でそう言う美波。
突然の警告に思わず目を丸くしていると、彼女は続けて口を開いた。
「そいつはな……大事なもんを他の誰かに奪われるくらいなら、自分でめちゃくちゃに壊すような人間なんだよ」
なんか、今さらりと物凄く怖いことを言われたような気がする。
「それに、そいつはちょい頭がイカれてるんだ。だから、その女は止めておけ。そのうち、壊され――」
「うるさい、美波」
美波がまだ喋っている途中だというのに、美紗さんは冷たい声でその言葉を遮った。
ぞわり、と寒気がした。
口元を緩ませて微笑んではいるが、その目はまったく笑っていなかったからだ。
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