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斯くして、脱線はあったものの話は本来の筋道に戻ったのだった。
「それで、hollyhock・hillってなんなんだよ?」
問うた俺に、遊馬はフフフと口に出して勿体つけた。うぜぇ。
「なんなんだよ、とは口の聞き方がなってないなぁコウキくん!ひとに物を尋ねるときは、相応の口の聞き方がふぁ!」
しょーがねーな。
わかったよ。お望みどおり、言ってやる。
教えてください、遊馬くん。
これでいいか?
「ったくうぜぇな。頭蓋骨歪ませたくなかったら、とっととゲロっちまえよ、このドアホウ」
「つか逆!本音と建前逆だからつか痛いいたたたたっ、離して!ちゃんと話すから離して!?」
おかしいなー。遊馬くんは素直に話すの?それともなにかお話して欲しいのかな?
ん?
ちなみに文系男子の俺だがバスケットボールくらいなら、片手で掴んで振り回すくらいの握力はある。
ああ、それから擬音で言うなら、ガッ→ミシミシ→メリメリメリッて感じかな?
なんの話だって?
さっきから俺が掴んでるバスケットボールよりやや小さい丸いなにかが辿っている運命についてさ。
「いていていて!わかった、謝るから本気のアイアンクローらめぇええ!?」
まったく、いちいち脱線させて、いらん手間かけさせるんじゃねーよ。
「……もう想像はついてるとは思うけどな、hollyhock・hillってのはさ、簡単に言えば、よくあるタイプのオンライン回線使ったロールプレイングゲームなんだよ」
ただし、ちょっと特別なんだけどな、と遊馬は言った。
まだちょっと涙目だった。あの程度で。……惰弱な。
「誰のせいだ誰の!つか痛かったんだぞマジ頭蓋骨がミシミシて!」
「話をすぐ脱線させるお前の自業自得だろ?……もう一度、喰らっとくか?」
「ももももう結構!よーし、じゃあ話を戻そうか!?」
うん、ようやく聞き分けがよくなってきたな。わかってくれればいいんだ、わかってくれたら。
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