1・hollyhock・hillってなんぞ?

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「なるほど、噂の前半はデマの可能性が高いってことはわかった。──なら、肝心の後半は?」 そう俺が問い掛けると、遊馬はすっと笑みを引っ込めてから確かに一度頷いて、 「ああ、デマじゃなかったんだ。……こないだ、出ちまったんだよ。ついにその決定的証拠ってやつがな」 ひどく面白くなさそうに、そう言った。 ……なるほどな。 ようやく全部繋がった。 思い出すのは朝、先輩が浮かべてたどこか辛そうな表情と、一冊だけいつも予約がいっぱいだったあのシリーズものの真ん中の本の表紙。 あれが、その証拠。 あの本は読まれるために借りられてたんじゃない。 ただ、借りた、というデータを作るためだけに利用者の手から手に渡り続けていたのだ。 たぶん、ずっと。 今朝のあいつも。 もや、と嫌な感情が胸に沸いたのが自分でもわかった。 順番、譲らなくて良かった。 狭量かもしれないがそう思えた。 なにがhollyhock・hillだ。 英語にすりゃ決まるとでも思ってんのかアホめ。 レア・アビリティだと? んなもん、くそっくらえだ。ばかやろう。 いっそサーバーごと落ちちまえ。 「まぁまぁ。でも、そこまでしたとしても、必ずしもそのレア・アビリティが利用者に与えられるとは限らないんだよ」 「なんか条件でもあんのか?」 「わからん。ランダムかもしれないし、ジョブとの相性があるのかも。……なにしろ確率がとんでもなく低いらしいからな」 むしろ手に入れたやつなんか、いなければよかったのに。 先輩の憂い顔を思い出してそう思う。 「……そんな面倒な手間をかけてまで手に入れたいほどの、貴重なモンなわけ?」 「どうだろな?」 これまた、まったく興味のなさそうな顔で遊馬は肩を竦めた。 「俺はアレには興味ないけど、欲しがるやつはなにしても欲しがるだろうな」 そんなもんかね。
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