序・フラグはここに成立した

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そんなの、決まってるよな。 「こうする」 ぐ、と俺は背後に庇ったやつの腕を掴み、引き寄せた。しっかりこの胸に抱くように。 「あんたにこいつは渡せない」 見得を、切った。 っああああやっちまったぁあ! こんちくしょう。 ここで見捨てられるなら、最初から介入するか! 「なっ!?」 「貴様……っ!」 戸惑う声は腕の中から。 その手を離せと激昂する声は──対峙した相手から。 その二つを無視して、俺は懐に隠し持っていた自作の白い呪符を発動させた。 間に合った。 即座に足元で白く輝く魔法陣。 魔力は十分、足りるはず。 さっき使ったポイント分の魔力は睨み合っている間にチャージした。 ……あっちが余裕かましてくれて助かったわ。 だって、なぁ? まともに戦って勝てない相手なら、逃げるしかないだろ? 「強制ログアウト」 俺の言葉が、発動のための最後のキー。 すさまじい早さで白い光に塗り潰されていく視界の中、黒衣の騎士が何かを叫んでいるのは見えたけれど、そんなもんは無視だ無視。 グッバイ、アディオス、サヨナラ、再見。ついでにアデュー。 出来ることなら永遠に。 「ばいばいきーん☆」 「貴様……っふざけるなぁあああっ!」 やけに鮮明に聞こえた罵声を最後に、腕の中のやつごと離脱完了。 ぶつん、と画面の電源を強引に断ち切ったときのあとに、俺の視界は一瞬で白から黒一色に切り替わった。 なんとか、逃げ切れたな。 厄介事をしょい込んじまった予感だけをひしひしと感じながら、俺はひとまず逃げ切れたことへの安堵に、溜め息を漏らしていた──。 ◇
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