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彼ははお使いの帰り道だった。
「今日は、カレーかぁ。しかし、材料が安く買えてよかったよ!!」
彼ははウキウキしている。なぜなら、余ったお金は自分のおこづかいとして持ってもいいと孤児院の決まりごになっていたからだ。
彼の名前は秋藤誠(あきふじまこと)親は行方知れずの天涯孤独の身で孤児院で育った。彼はそれを不幸とは感じてはおらず孤児院ではお兄さん的役割として買い物をまかされていた。
現在買い物終え孤児院へ帰っている途中だった。誠は帰り道にある駄菓子屋で余ったお金分でお菓子を買い孤児院のみんなと一緒に食べようと思い駄菓子屋に向かっていた。
「ウワァァァァァン」
どこからか女の子の泣く声が聞こえた。誠はその泣き声が気になり思わずその声のする方へ走って行った。すると、少し走ったところで誠は泣き声の主を見つけた。
声の主はショートヘアーに赤い髪が特徴的な5・6歳の女の子だった。女の子は電柱に寄りかかるように体育座りをして地面に顔を向け泣いていた。
まわりは泣いている女の子を気にしてはいるようだすぐに目をそらし通り過ぎて行く人や見向きもしない人ばかりで女の子は延々泣いている。
誠はそんな人達の態度に少し怒りを覚えたがそんなことよりも女の子が気になり声をかけた。
「どうした?迷子か?」
・・・・・・・・ビクッ・・・・・・・・
怯えるようにその女の子は身体を震わせゆっくりと誠の方へと顔を上げた。
「そんなに怖がらなるなよ。君が泣いてるから心配して来たんだからさ・・・・・・」
「グスッ・・・私を心配してくれるのか?」
「まぁな!!孤児院じゃあ優しお兄ちゃんで通ってるからな!!!」
誠は出来るだけ優しい声で元気よく女の子に話しかけた。
「ウ・ウ・ウワァァァァァン」
女の子は一目みて安心出来る人間と判断したのか誠に抱きつき、また泣き出した。
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