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私は男子高校生の後ろを何メートルか離れて歩く。
「………」
お、おはようって言うべきかな?
私は声に出さず、頭で考えていた。
とその時、後ろから誰かが私の肩を叩く。
「ん?」
振り向くと同じ制服を着た少女がニコニコしながら立っていた。
「あ、琉亜(ルア)!」
少女は名前を呼ばれると少し不機嫌そうな顔をした。
「もう!ルーちゃんって読んでってば」
「えっ、うん………る、ルーちゃん」
私は照れながらもそう呼んだ。
すると、琉亜は再び微笑んだ。
琉亜は天真爛漫でとても元気な少女だ。
鮮やかな黒髪にプルンとしている唇、顔は小顔で足も細い、まるでモデルのようだ。
「ね!乙葉って炎(ホムラ)の事好きなの?」
親友のいきなりの質問に、思わず吹き出しそうになった。
「き、急に何言うの!?べ、別に何ともないよ」
私は慌てて否定した。
「えー?怪しいなぁ」
琉亜は疑わしそうに私をじーっと見つめる。
「ほ、本当に何とも思ってないよ」
「ププッ……アハハハ」
琉亜はお腹を抱えて笑い出した。
「な、何がおかしいのよ!」
「ハハハ……ん?」
琉亜は急に笑うのを止めて真剣な眼差しになった。
急に様子が変わったので、私は不安になった。
「…ルーちゃん、どうしたの」
「……乙葉、学校まで競争だよ!」
そう言って琉亜は走り出した。
「えっ、競争?ま、待って」
訳も分からず私も琉亜に続いて走り出した。
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