1章 出会い

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私は男子高校生の後ろを何メートルか離れて歩く。 「………」 お、おはようって言うべきかな? 私は声に出さず、頭で考えていた。 とその時、後ろから誰かが私の肩を叩く。 「ん?」 振り向くと同じ制服を着た少女がニコニコしながら立っていた。 「あ、琉亜(ルア)!」 少女は名前を呼ばれると少し不機嫌そうな顔をした。 「もう!ルーちゃんって読んでってば」 「えっ、うん………る、ルーちゃん」 私は照れながらもそう呼んだ。 すると、琉亜は再び微笑んだ。 琉亜は天真爛漫でとても元気な少女だ。 鮮やかな黒髪にプルンとしている唇、顔は小顔で足も細い、まるでモデルのようだ。 「ね!乙葉って炎(ホムラ)の事好きなの?」 親友のいきなりの質問に、思わず吹き出しそうになった。 「き、急に何言うの!?べ、別に何ともないよ」 私は慌てて否定した。 「えー?怪しいなぁ」 琉亜は疑わしそうに私をじーっと見つめる。 「ほ、本当に何とも思ってないよ」 「ププッ……アハハハ」 琉亜はお腹を抱えて笑い出した。 「な、何がおかしいのよ!」 「ハハハ……ん?」 琉亜は急に笑うのを止めて真剣な眼差しになった。 急に様子が変わったので、私は不安になった。 「…ルーちゃん、どうしたの」 「……乙葉、学校まで競争だよ!」 そう言って琉亜は走り出した。 「えっ、競争?ま、待って」 訳も分からず私も琉亜に続いて走り出した。
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