1章 出会い

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前方にスライムと戦う琉亜の姿が見えた。 「る、琉亜ー!」 私は大声で琉亜の名前を叫ぶ。 「えっ、乙葉?何で」 琉亜は驚いた様子だったがすぐに真剣な顔つきに戻った。 「炎はどうしたの?早く戻って」 大声で怒鳴られた。 「私は……琉亜が…心配で」 耐えられずに涙が流れてしまった。 泣いている私を見て琉亜はため息をついた。 「怒鳴ってごめん。でもね、乙葉の為なのよ」 琉亜は私の肩を掴んでじっと私を見つめながら言う。 「……私、何が起きてるのか分かんない」 「……じゃあ、見てて。私がこれからする事を」 そう言うと琉亜は私に背を向けた。 琉亜の見つめる先にはあのスライムがいた。 「……琉亜…」 スライムはみるみるうちにデカくなって琉亜に襲いかかって来た。 それを琉亜は避ける。 スライムは再び琉亜に襲いかかる。 でも琉亜は動こうとはしなかった。 「る、琉亜逃げて!」 そう叫んだが既に遅かった。 そんな……琉亜…死んじゃったの? 大丈夫って言ったのに……嘘つき。 その時、スライムに異変が起こった。 スライムがバラバラに吹き飛んでいったのだ。 突然の事に私はただその場でじっとしていた。 「…乙葉、もう大丈夫」 琉亜は私の方を向いて微笑んだ。 良かった……いつもの琉亜に戻った。 「やっぱり居やがったか」 炎の声がして振り返ると不機嫌丸出しの炎が立っていた。 「あ、あの、ごめん!」 炎君に守って貰ったのに勝手に琉亜の所に来ちゃったし。 「やっぱり乙葉は私が好きなんだよね」 琉亜はそう言ってほっぺをつまんだ。 「ったく。早く行くぞ」 炎はポケットに手を突っ込んでいた。 でも私の中にある疑問が生じた。 「行くってどこに?」 「あー、ごちゃごちゃうるせえな」 炎は両手で耳を塞ぐフリをした。 ひどいッ! 「あのね、いきなり喧嘩は止めてよね」 うんざりしたように琉亜が言う。 「喧嘩なんてしてねぇよ」 「はいはい。行けば分かるからついて来て」 琉亜は私の手を引いて歩き出した。
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