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…………三時間かな。首をゆっくりと持ち上げる
昼頃をやや過ぎた辺り。魔力の近づくのを感じて覚めた
ドアが開く音が聞こえた
「ただいまー」
奴が…帰ってきたのだ…
別に恐ろしいことなんて何もないけどな
「おう、兄貴。櫂は?」
居間に入ると袋を抱えたまま周りを見る希望。キョロキョロしていて中のリンゴを落とした
お前は…
「希望。お前今からイラージュ行ってくれ」
リンゴを掴み口に運ぶ。小気味良い音がする。うん、甘い
「いきなりなんだよ。櫂は何処行ったんだって」
「櫂にも仕事任せた。お前は主に監視を頼む。“呪”の使い手を捜して監視してくれ」
リンゴ美味いな畜生
「やっと誰か分かったのか?」
「悪い。分からん(笑)」
ちょっグングニル向けんな。寝起きだこっちは
だってどんだけ調べても出てこないんだぜ?もうあれに賭けるしか…
「主人公オーラを出してる奴が学園に一人か二人いるはずだから。そいつに付いてけば見つかるはずだ」
災難に巻き込まれるのが主人公の運命なんだよ………道ずれに何度も巻き込まれ続けたなぁ…
なんか無性に蓮を殴りたくなった
「主人公オーラってどんなのなんだ?」
「見るな…感じるんだ…みたいなことしてれば見つかる」
「つまり勘かよ!!」
文句言うな。お前なら気付けるはずだから。圧倒的に何かが違うからな、感覚的に何か特別さを感じるんだよ
「常時ローブを着けること。顔は誰にも見せるなよ。言葉は何かに書いて表せ。一切口で喋るな。グングニルは葉桜に形を変えるか使わない。後は…」
「…全部やらないといけないのか?」
嫌そうな顔をする希望。まあ確かに少し厳しいかもしれないな…
だが相手はサガンなんだ。頭良い奴なんだからこれくらいしないといけねえんだ
「何かあったら櫂の携帯か俺に念話しろ。特に櫂とは密に連絡を取り合え」
「…りょーかいしました」
ふてくされたように敬礼をして希望も消えた。
誰もいなくなった静寂。自分の呼吸音がやたら大きく感じる
むくりと立ち上がる
俺も行くか
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