無題…

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朝起きる。いや、起こされる、という表現の方が的確か。今朝はいつものけたたましいベルの音ではなく、我が母親の悲鳴により、僕は無理矢理起こされたのだった。 断片から推測するに、どうやらペットの猫が革張りのソファを引っ掻いたらしい。潔癖症め。動物に怒鳴りつけたところで、得るものなんて何も無いだろうに。ただ僕に頭痛を引き起こさせただけじゃないか。無駄。うちの家族は無駄に無駄で無駄な事をよくするが、それが本当に無駄なことだとはわかっていないみたいなのだ。ああ阿呆らしい。 期末のテスト勉強で徹夜だった僕には怒鳴り声より睡眠の方が大事だそれをたかだかソファが引っ掻かれた程度でギャァギャァ喚きやがってまじウザいお前に僕の睡眠を妨害できる権利なんて無い親権にもそんな権利は組み込まれて無い早く朝食の準備でもしてくれ遅刻したらどうするか 「朝ご飯だよ!」 怒鳴らなくても聞こえる。立て付けが悪いこの家なら。 「…」 僕は敢えて返事をしない。しても気付かない。もしかしたら、気付いているのかも知れないが、取りあえず返事に対する返答が無いのだ。
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