1人が本棚に入れています
本棚に追加
/10ページ
いつもより一際近くに有るように感じるそれは、私の気分を十分に盛り上げてくれた。
「……あら。」
その一方で、その神秘的な微光を背に受けた人影一つ。
私が雇った門番は、門番の癖に、何に気を配るでもなく御安眠なさっている。
わざわざ椅子まで用意して、あいつ何で寝てんのよ。
朱色の長い髪に特徴的な服装の、紅美鈴。
彼女は此所のもう一人の従者。
雇った者は他にも沢山居るが、特別な役職を与えたのは、咲夜と彼女だけだ。
因みに特徴的というのは……、まあ言えばあのチャイナ服の事だ。
此方が指定したものでは無いので、あれは彼女の私服で私物だ。
確かに服装は個人の好みの範囲、私に兎や角言う権利はない。
しかし彼女の職務怠慢については、文句せずにはいられないわね。
そんな私の心情など当然知らずに、美鈴はただただ惰眠を貪っている。
あ、椅子から落ちそうになってやんの、ふふ。
……気持ち良さそうに寝ちゃって。
「……ふん。」
如何にも外敵など居ないと体現するように、安心しきった美鈴を横目に、私は寝室を後にした。
―――――――――――――――――――
血のように紅い絨毯が敷かれた、長い長い廊下。
最初のコメントを投稿しよう!