手離し難き運命

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妖精といえば、普段はぐうたらで遊んでばっかの、時には悪戯もする、人間にとってはなかなか迷惑な存在である。 ここのメイド達も常に、という程では無いが、やはり例外ではない。 あまりに沢山の妖精が居て、私も詳しい人数までは知らない。 だが、改めて言うが、実質上この館を回しているのは咲夜だ。 妖精メイド達も仕事に対してはわりと積極的ではある。 しかし、所詮妖精なので、彼女達の仕事など申し訳程度のものだ。 まあ居ても居なくても同じなのだが、彼女達が今の生活を気に入っているのなら、わざわざ追い出す事は無いだろう。 彼女達が日常に満足しているのなら、わざわざそれを壊す必要は無い。 “私”は、今の生活に満足している。 ――――――――――――――――――― 階段を降りる足取りが、次第に軽くなっていく。 変わらない日常の中で変わるものといえば、毎回の食事よね。 子供だと言われるかも知れないが、私はこの時間が毎日楽しみだ。 単純にお腹が空いたし。 幾ら“夜の王”とかなんとか呼ばれる私でも、生き物である以上空腹には敵わないわ。 世に上げられる三つの大欲に数えられるくらいだし、我慢したくてもしようがない。 もっとも、私の行動の選択肢に我慢なんてものなど無い。 ノブに掛けた手に軽く力を込めると、重々しい音を立て、食事の間に繋がる扉が開いていく。
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