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「な、なんでしょうか……。」
美鈴は怯えるような目をしている。
そんな目をしたって、容赦しないわよ。
「あなた……、今何してたの?」
「も、もちろんここの警備ですが……。」
よし、ここで一度持ち上げる。
「ほう、それなら美鈴。あなたはきっと天才よ。」
「……へ?」
きっと怒られるのを覚悟していたに違い無い美鈴は、予想外だったのか間の抜けたような声を出している。
ふふ、予定通りだわ。
「それは……、どうしてですか?」
今度は少しだけ期待した表情で、此方を見ている。
「だって、幾ら私だって睡眠を取りながら主を守るなんて無理だもの。」
「えー。」
えー、て。
本当からかうと面白いわ。
ここで臭すぎる台詞を作り、わざとらしい抑揚をつける。
ついでに手振りもつけよう。
「ああ、私は何て優秀な門番を雇ったのかしら。この一期一会に乾杯。」
「……すいませんでした。」
やっと本質を理解したわね。
よろしい、赦してあげましょう。
「ところで――。」
「はい?」
「咲夜、見なかった?」
「咲夜、ですか?私は分かんないですねー。今日は誰も来てないですから。」
寝てたくせによく言い切れるわね。
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