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「終わりって言ってんのよ!終わりなさいよ!」
「負けない……負けません!」
春香は瞬時にビームサーベルを振り抜き、銃剣を受け止める。
そして、Hi-νガンダムが、緑色の燐光を纏い始めた。
Hi-νと共鳴するように、Ζガンダムもまた不可思議な色合いをした光を全身に纏う。
「よく分からないけれど、これで!」
千早はコンソールの武装欄に現れた「ハイパー・ビームサーベル」を選択し、トリガーを引いた。
Ζは残った左腕でビームサーベルを引き抜き、ビームの刃を展開する。
それは通常のビームサーベルよりも遥かに大きく、長く伸びていた。まるで、一つのハイパーメガ粒子砲を自在に操っているかのように。
「何よ、何だってのよ!」
力任せに振り抜かれた刃に翼を焼かれながらも、葵はバスターライフルを千早機のコックピットへ撃ち込んだ。
Ζがバスターライフルの光に焼かれる中、春香はゼロカスタムの真下から強襲し、バスターライフルを切り裂いた。
「しまった!?」
千早を行動不能に追い込んだのは大きいが、葵は疲労し、集中力を欠いていた為に春香の存在を忘れていたのだ。
「私達は、どんな状況でも諦めたりしません!絶対に!」
春香はビームサーベルを投げ捨てると、ゼロカスタムのコックピットへと渾身の掌底を叩き込む。
サイコフレームの共振で強化されたそれはゼロカスタムのコックピットを貫通し、葵を戦闘不能に至らしめた。
(ああ、あたし負けたんだ……)
全てが終わった喪失感と同時に、葵はどこか満たされるのを感じていた。
次こそは、勝つ。
そんな言葉が、自然と彼女の脳裏に浮かんでいた。
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