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「フ、フハハハハ!貰ったぞ、森次冬夜ぁ!」
アロンダイトも砕け、機体の各所が悲鳴を上げている状態で、冬夜は真正面から黒井へ突撃していた。
血迷った訳ではない。
たった一つの勝機に賭ける為だ。
唇を真一文字に結び、冬夜は迫り来る真紅の機体と翡翠色の刃を真っすぐに見据える。
「貴様も味わうが良い、敗北を!」
「悪いが……」
ビームソードの切っ先が、デスティニーの機体に達するその一秒前――冬夜は機体を僅かに逸らし、残像を発生させた。
「な……っ」
「それは、数えきれない程味わってきたものだ」
無数の敗北、無数の失敗、時には挫折を繰り返して、ガンプラビルダーになった自分がいる。
黒井が繰り出した渾身の一撃は、残像と、左胸のダクトを貫くだけに留まっていた。
デスティニーは、全ての武装を失っている。
追加装備も、アロンダイトも、高エネルギー長射程ビーム砲も。
しかし、たった一つ残されている物がある。
冬夜は右腕を振りかぶり、エピオンのコックピットに叩き付け、つかみ取った。
パルマ・フィオキーナ掌部ビーム砲。
たった一つ残された武装に全てのエネルギーを込め、冬夜はトリガーを引いた。
放たれた閃光がエピオンのコックピットを撃ち抜き、沈黙させた。
エピオンは力無くアクシズへ落下していくが、それはエネルギーを失ったデスティニーも同じだ。
しかし――
デスティニーは立っていた。
膝を突きながらも、まだ倒れてはいなかった。
沈黙が支配する会場に、高らかに声が響き渡る。
『勝者、765プロ!』
その勝利宣言を皮切りに、堰を切ったように歓声が、怒号が、嘆きが、そして万雷の拍手が会場に溢れ返る。
第一回ガンプラ・アルティメイトは今、決着を迎えたのだ。
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