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「確かに君は普通の女の子だと思う……とは言いたいが、魅力は普通以上だ」
「……鹿島プロデューサーって、お世辞が上手いんですね」
悠志としては大真面目に言ったつもりだったのだが、美世は赤面して自虐気味にそれを否定する。
(秘めた輝き、か)
ふと、そんな言葉が悠志の脳裏を過ぎった。
彼女が自分の魅力をもっと前面に押し出していけば、少なくともビジュアル面では相当な有利が取れる筈なのだ。
美世は正に、ダイヤの原石といった風情であった。
時刻は午後8時。美世とのミーティングとレッスンも終わり、自分に課せられたノルマも消化した為、悠志は家路に付いていた。
ふと、悠志は765プロダクションの付近に佇むゲームセンターに出来ている人だかりに目を引かれる。
(ガンプラ・バトルか……)
愛機であるガンプラは持っていないが、観戦なら出来る。
悠志はふらふらと人だかりの中に吸い寄せられるかの如く、ゲームセンターに足を踏み入れた。
「あのフルセイバー、すげぇ動きだな……」
「エッジの処理もしてるし、純粋に完成度も高いしな」
ライブモニターから中継されている試合に、観衆達は視線を注いでいる。
(フルセイバー……?)
悠志は聞き覚えのあるガンプラの名前に一つの予感を抱きつつ、ライブモニターを見上げる。
そこには藍色のストライクノワール……I.W.S.P.を装備している――と死闘を繰り広げるダブルオークアンタ・フルセイバーの姿があった。
誰かが言ったように、クアンタの完成度は中々の物だ。
だが、相手のストライクノワールも負けてはいない。グラデーション塗装の精度と恐らくオリジナルであろうデカールの絶妙な配置。
間違いなく、強者だ。
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