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乱舞するかのように四方八方から襲い掛かるソードビットを捌きながら、ノワールがクアンタに肉薄する。
そして、対艦刀を振り上げた。
ソードビットを射出している以上、バリアは使えない。この時点でノワール側の勝ちは決まったような物だったが、しかし。
クアンタの全身が赤熱したように赤く染まったかと思えばその一秒後、GNソードⅣから分離したニ挺のガンブレイドを手に、クアンタはノワールの背後に回り込んでいた。
そして、ガンブレイドからビームを連射し、I.W.S.P.のエンジンユニットを撃ち抜く。
息もつかせぬ、という言葉が相応しい戦いだ。
緊張感が伝播したのか、騒がしかった観衆は水を打ったかのように静まり返り、隣の音楽ゲームコーナーから流れている曲が、やけに鮮明に聞こえている。
悠志も固唾を呑んで、ライブモニターへ全神経を注ぐ。
I.W.S.P.をパージしたストライクノワールは掌部からワイヤーアンカーを射出し、ソードビットの基部となっているシールドごと左腕を絡め取った。
そして、バリアと動きを封じられたクアンタに、コンバインドシールドを向ける。
万事休すかに思えたが、クアンタはガンブレイドでワイヤーを切断、そのままGNソードⅣを手に、攻勢へ転じた。
下段から切り上げる一撃が、ストライクノワールの右腕を斬り飛ばす。
だが、ノワールもただでは帰さんとばかりにコンバインドシールドをパージすると、即座に手にしている対艦刀を突き出した。
流れで大上段から振り下ろされたGNソードⅣはノワールの上半身を切り裂き、突き出された対艦刀はクアンタのコックピットを貫く。
結果は――引き分けだった。
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