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「上等だ……!なら、真正面から潰すまでだ!」
「はっ……倒せるかな!」
デスティニーとエピオンの剣がぶつかり合い、火花を散らす。
プロに依頼して作った黒井のガンプラは、完成度が段違いだ。
使い捨てる事を前提にして市販品を塗装するに留めた長剣はパワー負けし、へし折れてしまった。
だが、冬夜は笑っている。
そして、彼は腰の鞘から二本の刀を引き抜くと、再び敵陣の中を駆け抜けていくのだった。
「あたしは……!あんた達みたいにぬくぬくと育った奴らなんかに、負ける訳にはいかないのよ!」
黒と赤のツートンカラーに彩られたウイングゼロカスタムを駆る少女――天河葵は、腹の底から絞り出したような憎悪と悲哀の篭った叫びを上げ、目の前のガンプラへ突貫していく。
漆黒の羽根が舞い散り、ツインバスターライフルの先端に据え付けられた実体剣の刃が鋭く光る。
目の前の機体……白、青、銀のトリコロールも鮮やかなHi-νガンダムを駆る少女、天海春香は葵とは対照的に、沈鬱な面持ちだった。
「私、難しい事は分からないけど……今は違うよ!こんな事する場所じゃない!」
青白い双刃のビームサーベルと、ツインバスターライフルの銃剣が激突する。
春香は相手の攻撃を受け流すと左手に持たせたビームライフルを応射し、ゼロカスタムの左肩を撃ち抜く。
同時に、葵は右手に持っていたバスターライフルで、Hi-νの右脚を撃ち抜いた。
「うるさい、あたしは……そうじゃなきゃいけないんだ!」
「そんなの、分からず屋だよ!」
葵の叫びに、春香も感情を剥き出しにして叫び返す。
二機が激しく切り結ぶ一方では、一つの戦いが終わりを迎えようとしていた。
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